C4996エラーとは何か
C4996エラーは、Microsoft Visual Studioのコンパイラが古い関数を使用していることを検出した場合に発生します。
このエラーは、セキュリティ上の問題や非推奨の関数が使用されている可能性があることを示しています。
C4996エラーはプログラムの実行自体に影響を与えませんが、将来的なバグや脆弱性の原因となり得るため、無視できません。
C4996エラーが発生する原因
C4996エラーは、Visual Studioでコンパイルする際に発生するエラーの一つです。このエラーが発生する原因として、以下の2つが挙げられます。
非推奨関数の使用
C4996エラーは、非推奨関数を使用した場合に発生します。非推奨関数とは、セキュリティ上の問題や互換性の問題などから、今後使われなくなることが決まっている関数です。代わりに安全で新しい関数を使用するように指示されています。
例えば、「strcpy」や「gets」といった古い関数は非推奨扱いされており、「strncpy」や「fgets」など安全で新しい関数を使用するように指示されています。
ヘッダーファイルのインクルード順序の問題
もう一つC4996エラーが発生する原因として考えられるのが、ヘッダーファイルのインクルード順序です。
ヘッダーファイルをインクルードする際には、依存関係があるファイルから先にインクルードしなければなりません。そうしなければシンボル名衝突や未定義シンボルエラー等が起きます。
例えば、「stdio.h
」という標準入出力用ヘッダファイル内部では、「FILE*
」型変数宣言前に必要なtypedef宣言(struct _iobuf) を行っています。 そのため、
「stdio.h」以外でも同じtypedef宣言を行ってしまった場合、重複定義されてしまいます。 これも C4996 エラーや他の不具合の原因となり得る点の1つです。
以上2点が主要な原因として挙げられます。次節では対処法を説明します。
C4996エラーを回避する方法
C4996エラーは、非推奨関数の使用やヘッダーファイルのインクルード順序の問題によって発生することがあります。前述した原因を回避する方法について解説します。
非推奨関数を使わないように書き換える方法
C4996エラーは、非推奨関数(deprecated function)を使用している場合に発生することがあります。これらの関数はセキュリティ上の問題があるため、新しいバージョンでは使用しないように指示されています。
例えば、strcpy()
やstrcat()
などは非推奨関数であり、代わりにstrcpy_s()
やstrcat_s()
など安全なバージョンを使用する必要があります。
以下はstrcpy_s()
を使った例です。
char str1[20] = "Hello";
char str2[] = "World";
// strcpy(str1, str2); // C4996エラー
//事前に処理を行う範囲を指定する引数が追加されている
//※バッファオーバーフロー対策
strcpy_s(str1, sizeof(str1), str2);
_CRT_SECURE_NO_WARNINGSマクロを定義する方法
もう一つの回避策として、「_CRT_SECURE_NO_WARNINGS
」マクロを定義する方法があります。
このマクロを定義することで、非推奨関数でもコンパイル時に警告されず、C4996エラーも回避できます。
ただし注意点として、「_CRT_SECURE_NO_WARNINGS」マクロはセキュリティ上の問題がある関数を使用しても警告しなくなるため、常時有効化すべきではありません。
必要最小限度だけ有効化しましょう。
以下は「_CRT_SECURE_NO_WARNINGS」マクロを定義した例です。
#define _CRT_SECURE_NO_WARNINGS // 警告無視
#include <stdio.h>
int main(void) {
char name[10];
printf("名前:");
scanf("%s", name); //C4996がでない
printf("こんにちは%sさん\n", name);
return 0;
}
以上がC4996エラー対処法です。